デビアス社がダイヤモンド市場を支配する3つの理由

デビアス社がダイヤモンド市場を支配する3つの理由

ダイヤモンドをお探しの際に、「デビアス」の名前を耳にした経験がある人は多いでしょう。

「デビアスって何?」
「デビアス社のダイヤモンドはどんな部分がいいの?」

と気になる方へ、デビアス社の歴史やダイヤモンド市場での功績、デビアスのダイヤモンドのクオリティについて詳しくご紹介します。

デビアス社とは?

デビアス社とは、南アフリカ共和国発祥でイギリスに本社を置く企業で、現在はアングロ・アメリカンの子会社です。1881年に設立されたあと、第二次世界大戦では工業用ダイヤモンドの需要が増えた影響もあり、ダイヤモンドの採掘・加工・流通などをおこなう企業に成長しました。

デビアス社は世界中のダイヤモンドのシェアの9割ほどを握った歴史を持っており、その存在はダイヤモンド産業の発展と強く関わっています。ダイヤモンドの希少価値や地位を高めてきた、ブランドです。

デビアスという名前の意味は、南アフリカ共和国にある、デビア兄弟の農場の名前が由来です。

理由①デビアス社はダイヤのマーケティングに成功

現在、ダイヤモンドといえば、婚約指輪や結婚指輪に使われる結婚の象徴となる宝石ですよね。

デビアス社のマーケティングの成績の1つは、この「ダイヤモンドといえば結婚」という概念を定着させたことです。

デビアス社は第二次世界大戦以前からダイヤモンドの宣伝を始めました。

デビアス社はイギリス王室にダイヤモンドを献上したり、さまざまなメディアの利用や著名人を起用して、ダイヤモンドのイメージを作り上たりと、市場の活性化などをおこなっています。

例えば、「婚約指輪は給料の3ヵ月分」や「ダイヤモンドは永遠の輝き」という誰もが一度は聞いた経験のあるフレーズや、結婚指輪にダイヤモンドを使用するなどの常識を日本に広めたのもデビアス社です。

理由②デビアスグループがダイヤモンドを一元管理

デビアスグループはダイヤモンドの採掘から販売まで一元管理することでその価値を守ってきました。

ダイヤモンドは、1900年代に世界各地で鉱山が発見されたため、原石は需要に対して生産過剰の状態になります。

1929年には、生産過剰となった影響で、ダイヤモンドの価値は大きく落ちてしまいました。

そこでデビアス社は3つの団体を設立します。ダイヤモンドの生産から販売までの一元管理によって、宝石としての価値を回復させます。

・ダイヤモンド生産組合(DPA)・・・ダイヤモンドの採掘を担い、原石の生産量を調整。
・ダイヤモンド貿易会(DTC)・・・分類作業とDPAが生産した全ダイヤモンドの買い上げ、ダイヤモンド原石の販売をおこなう。
・中央販売機構(CSO)・・・小売店へダイヤモンドを卸す。

理由③デビアス社のダイヤモンドはハイクオリティ

デビアス社はダイヤモンドの地位と歴史を作り上げてきただけでなく、より品質の良いダイヤモンドの生産にも力を入れてきました。デビアス社のこだわり抜かれたダイヤモンドの特徴をご紹介します。

4Cを超えた芸術的な美しさ

ダイヤモンドの価値を測る基準としては、米国宝石学会(GIA)によって定められた4Cが有名です。

この4Cの呼び方などを広めたのはデビアス社の広告でした。ジュエリー用ダイヤモンドの評価項目である4Cは、以下のとおりです。

・カラット(Carat)
・透明度(Clarity)
・色(Color)
・カッティングの美しさ(Cut)

デビアス社でも4Cの基準は重要視しています。

しかし、より綺麗なカッティングの美しさを測るため、さらに独自の基準として、以下の3つの要素も定めています。

・Fire・・・ダイヤモンドの内部に見える虹
・Life・・・ダイヤモンドを動かしたときのきらめき
・Brilliance・・・ダイヤモンドを正面から見たときの反射光

グループ会社が鑑定・保証

デビアス社は、カッティング以外にもダイヤモンドの鑑定や保証にも力を入れています。デビアスグループ会社であるIIDGRは、ダイヤモンドの専門研究機関です。

ここでは、デビアスのダイヤモンドを購入した際に付いてくる鑑定カードを発行しています。

カードの記載内容は、4Cの評価やカッティングの図のほか、寸法や内包物などダイヤモンドの詳細がわかる内容です。

また、0.2カラット以上のダイヤには目には見えない「デビアスマーク」が刻印されています。

他にも、「アイリス」と呼ばれる装置を使って光のシルエットが可視化されるなど、デビアス社はさまざまな独自の技術を持っています。

エシカルなダイヤモンド

デビアス社は、ダイヤモンドの生産や流通方法までこだわっています。デビアス社のダイヤモンドはエシカルなダイヤモンドです。

エシカルとは、「倫理的な」という意味で、デビアス社ではダイヤモンドの生産や流通が清く正しいことを証明しています。

例えば、近年ダイヤモンドは紛争の資金源になる問題が注目されていますが、デビアス社のダイヤモンドは、紛争とは無縁であることを保証しています。

他にもデビアス社は、自然環境や野生動物の保護などの環境面にも貢献しています。

人工ダイヤ事業について

デビアス社はライトボックス(Lightbox)と呼ばれる人工ダイヤモンドのブランドを発表は話題になりました。

ハイクオリティなダイヤモンドを提供してきたデビアス社が低価格で購入できる人工ダイヤモンドを発表したことには賛否両論がありました。

新たなビジネスチャンスととらえる小売店もあれば、ダイヤモンドビジネスに悪影響を及ぼすと考える小売店もあります。

ライトボックスが目指すのは、気軽に購入できるダイヤモンドです。自分のためのダイヤモンドは安くて手軽に買える人工ダイヤを選びたいという女性もいるかもしれませんよね。

より多くの人が低価格でダイヤモンドを買えるようにと、低価格宝飾品ビジネスへと参入しました。

しかし、ダイヤモンドの製造技術が簡単に利用できるようになったため、ライトボックスは中国やインドで作られる低コスト製品との競合が発生します。

6年間続いた人工ダイヤモンド事業について、デビアス社は撤退を発表しています。

まとめ

ダイヤモンドの採掘から販売まで手掛けるデビアスグループは、ダイヤモンドの歴史のなかでも重要な役割を果たしてきました。

結婚の象徴としてダイヤモンドが贈られるようになったのは、デビアス社のマーケティングによるものです。

デビアスグループは、採掘から販売までグループ間で一元管理することによって、ダイヤモンド価値を保ち市場を独占してきました。

基準や鑑定方法にもこだわりを持ち、ハイクオリティなダイヤモンドを作るなど、デビアス社はダイヤモンド市場において大きな意味を持っています。

エシカルなダイヤモンドや、今後の展開など、デビアス社の新たな取り組みにも注目が集まっています。

おすすめ記事