ダイヤモンドが高騰見込み。ロシア国営企業「アルロサ」が制裁対象に

ダイヤモンドが高騰見込み。ロシア国営企業「アルロサ」が制裁対象に

ロシアのウクライナ侵攻に対して、世界各国はロシアの企業へも制裁を強めています。

世界最大のダイヤモンド採掘会社であるロシアの国営企業「アルロサ」もアメリカからの制裁が決まりました。

このニュースを受けて、ダイヤモンドが今後高騰する可能性についてご紹介します。

ついにロシアの国営企業「アルロサ」が制裁対象に!

アメリカのバイデン政権は、2022年4月7日、ロシアの国営企業「アルロサ」を制裁対象として追加 しました。
アメリカは、ウクライナ侵攻を続けるロシアに資金を提供している主要組織に圧力をかけ続けると発表しており、2024年時点で改善の兆しはありません。

アルロサは世界最大のダイヤモンド採掘会社であり、世界のダイヤモンドの採掘量の約27%を占める巨大な組織です。

アルロサは世界的なジュエリー協議会RJCから脱退

アルロサはアメリカから制裁を受けているだけでなく、 世界的なジュエリー協議会であるRJC(Responsible Jewellery Council:責任あるジュエリー協議会)からも脱退 しています。
これは、大手高級ブランドからの圧力によるものです。ロシアがRJCに加入していたことを理由に複数の大手がすでにRJCを脱退していました。

ロシアのダイヤモンド採掘企業のアルロサとは

アルロサは、 ロシア政府が37%の株を所有するダイヤモンド採掘企業 です。
ダイヤモンドの採掘からカットまで、アルロサは多岐にわたって事業を展開しています。

アルロサからダイヤモンドを購入することは、デビアス社と同じようにダイヤモンド業界にとってはステータスともされていました。

アルロサは、中国や日本でも人気が高い希少なファンシーカラーダイヤモンドも採掘しています。

ダイヤモンドが高騰する理由

アルロサが制裁対象となったことを受け、今後ダイヤモンドの価格が高騰することが予想されています。その理由をご紹介します。

アルロサのダイヤモンドは世界シェア27%

ロシアは世界有数のダイヤモンドの産地です。ロシアのダイヤモンドの採掘量は世界一で、世界の約3割のダイヤモンドはロシア産になります。

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ロシアのダイヤモンドのうち約9割はアルロサが採掘しており、 アルロサのダイヤモンドは世界で約27% ものシェアです。

アルロサのダイヤモンドがアメリカの制裁対象となったことで、ダイヤモンドの流通量は減少するため価格が高騰することが予想されます。

アメリカのダイヤモンドの売上高は世界の約50%

アメリカのダイヤモンドの売上高は世界の約50% を占めています。

高いシェアを占めるアメリカがロシア産のダイヤモンドの輸入を禁止しているのは、ダイヤモンド業界に大きな影響を与えるでしょう。

企業や消費者の不買運動

大手ジュエリーブランドのなかには、 ロシア産のダイヤモンドの調達を独自に中止 している会社もあります。

例えば、ティファニーは、メレダイヤも含めすべてのロシア産のダイヤモンドの調達を中止しました。

ティファニーですでに流通してしまっているダイヤモンドに関しては、顧客がロシア産かどうか確認できるようになっています。

消費者の間でも、ロシア産のダイヤモンドの不買運動は高まっています。

ダイヤモンドの価格推移と高騰の背景

年代主な事柄内容
2009年リーマンショックと金融緩和経済混乱が起きたリーマンショックにより株価下落・ダイヤモンド価格の減少。その後金融緩和が行われたことですぐにダイヤモンドが高騰となる。
2011年中国やインドでの需要増大東日本大震災があった日本や債務危機の影響があったヨーロッパでの需要があまり伸びなかったが、中国やインドで需要が拡大。
2018年鉱山の生産量増加世界各地の鉱山で生産量が増加し、需要と供給のバランスが傾いたことでダイヤモンド価格相場が減少傾向に。
2020年 コロナショック世界的に猛威を振るったコロナウイルスがダイヤモンド業界にも影響。経済活動の停滞による需要の減少。
2021年 パンデミックから回復新型コロナウイルスのパンデミックの中、じわじわと需要が回復しつつありながらも鉱山稼働が下がっていることで採掘量が追い付かず価格が高騰。
2022年 ロシアによるウクライナ侵攻ロシアがウクライナに侵攻したことで経済制裁や政治情勢の不安定さがダイヤモンド業界に影響を与える。
2024年米ドル高・円安3年連続で米ドル高・円安となり、日本国内のダイヤモンド価格は高騰傾向です。世界的にみても需要と供給のバランスが不安定であることから価格高騰の傾向に。

アルロサへの制裁の抜け穴

アメリカのアルロサへの制裁には、実は抜け穴もあります。

世界のダイヤモンドの約95%はインド産

アメリカで流通しているダイヤモンドの多くは法律的にはロシア産ではありません。

世界中で流通しているダイヤモンドの約95%がインドでカットや研磨がおこなわれており、それらのダイヤモンドはインド産として輸入されてしまうのです。

ダイヤモンドのサプライチェーンには問題がある

カットや研磨のためにインドや他の国に送られたダイヤモンドは、 それ以前の原産地がわからなくなってしまいます。

どこからどこに移動したというサプライチェーンを明確にするトレーサビリティーが欠如してしまっているのです。

そのため、 ロシア産のダイヤモンドに対する制裁の効果は、最小限に留まるという見方もあります。

アルロサのダイヤモンドは制裁にも関わらず売上増加

2022年2月の制裁から1年後の2023年に発表されたアルロサの売上は増加しているとの収支報告がありました。これはインドや中国といった市場でロシア産のダイヤモンド輸入を許可していることで売上に影響を与えなかったとされています。

ただし純利益については減少しているとの報告があり、2024年1月には欧州連合(EU)はロシアへの追加制裁として、アルロサと同社最高経営責任者(CEO)の資産凍結並びに渡航禁止の対象に加えたと発表しています。

まとめ

2022年ロシアのウクライナ侵攻を受けて、ロシアのダイヤモンド採掘企業であるアルロサをアメリカが制裁すると決定しました。

ダイヤモンド売上高で高いシェアを持つアメリカが、高い採掘量を誇るアルロサへの制裁を決めたのです。また、ロシア産のダイヤモンドへの不買運動は企業や消費者の間でも高まっています。

つまり、今後ダイヤモンドの高騰が予想されるでしょう。一方、制裁の抜け穴もあるため、制裁の効果は限定的という見方もあり、現時点で上昇傾向になるダイヤモンドの価格変動は今後どうなるのか。

世界情勢に大きく影響される可能性が高いダイヤモンド。ダイヤモンドを売却されたい方は、日々変動する価格をこまめにチェックすることをおすすめします。

今後の見通しもわからないため、早めに売却してしまうのもよいかもしれません。

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