万年筆・初心者さん講座|選び方・使い方・おすすめブランド

万年筆・初心者さん講座|選び方・使い方・おすすめブランド

筆記具の王様・万年筆。
「使ってみたいけど数がありすぎて、どの万年筆選べばいいのか分からない」という方も多いのではないでしょうか。

難しそうと思われがちですが、実は【 万年筆選びのポイント 】を押さえれば意外と簡単なんです。

今回は万年筆選びにお悩みの初心者さんに、
・万年筆選びのポイント
・おすすめブランドの紹介
・万年筆かんたんな使い方
を分かりやすく解説します。

万年筆選びのポイント

①値段・価格帯

万年筆の価格帯は1,000円以下で購入できる低価格帯の物から数十万円するブランド品まで幅広いため、自身に合った万年筆を選んでみましょう。今では100円ショップでも発売されているのでお試しで使ってみたい方にはおすすめです。

②書き味・ペン先の素材

万年筆を選ぶ中で確認しておきたいのがペン先の素材。大きく分けて金ペンと鉄ペンの2種類があり、それぞれの違った書き味があるので好みで選んでみましょう。

金ペンの特徴

金ペンの特徴

金ペンは素材に金が使用されており、書き心地が柔らかくインクによる腐食に強い特徴があります。
金の含有率により「14K・18K・21K・24K」と分類されており、数字が大きくなるほど柔らかくなります。ただ、柔らかい方がいいということではなく、24Kだと柔らかすぎるため筆記具としては合わないケースがあります。
万年筆初心者さんはほどよい書き味がある18Kあたりをおすすめです。
また価格帯としては高値の物が多く、18Kの場合約2~3万前後を想定しておきましょう。
万年筆特有の滑らかな書き心地と長く使い込みたい方には金ペンがおすすめです。

鉄ペンの特徴

鉄ペンの特徴

鉄ペンは素材に鉄(ステンレス)が使用されており、金ペンに比べ安価でしっかりとした書き心地が特徴です。
やや硬めの素材から極細のボールペンのようなカリカリとした書き味になります。
価格帯は安価な物だと1000円以下でもあり初心者用・入門編として売られている万年筆はほぼ鉄ペンが使用されています。
まずは万年筆がどんな物か知りたい!という方は鉄ペンで使い方や構造などを知ってみるのもいいでしょう。

③線の太さ・字幅

万年筆の線の太さには種類があり、スタンダードな「F(細字)」「M(中字)」「B(太字)」、さらにメーカーによっては「EF(極細)」「MF(中細字)」などがあります。また使用用途よっては「MS(ミュージック)」や好みの字幅で選ぶならZ(ズーム)」などがあります。

自身が書き出す物(手紙やノートなど)やシチュエーションによって選ぶのがいいでしょう。
万年筆に慣れていない初心者さんなら「F(細字)」「M(中字)」がおすすめです。
その理由は書き心地が手にする機会が多いボールペンに似ているためです。
初めての方でも万年筆特有の癖を感じず、すんなり書き始めることができます。
最初は「F」または「M」で慣れた後に、下記の図の色んな字幅を試しみて自分好みの太さを選んでみてはいかがでしょうか。

万年筆の線の太さ一覧

線の太さ特徴
EF
極細
ノートや手帳など小スペースにも書きやすい線の太さ。
F
細字
万年筆初心者さんにおすすめ。ノートや手紙など様々な用途に使いやすいスタンダード的な太さ。
MF
中細字
FとMの中間の太さ。日常的な使用に向いている字幅。
M
中字
万年筆初心者さんにおすすめ。字に自信がない方でも綺麗に書ける太さ。
B
太字
契約書のサイン時など、ビジネス的に活躍する太さ。
Z
ズーム
万年筆になれた方におすすめ。筆記角度によって細字・太字に書き分けができる。
MS
ミュージック
楽譜用のペン先。最近ではデザイン文字を書くために人気が上昇傾向。

④インクの補充方法

万年筆は自身でインクを補充する必要があります。それぞれの方法に良い点・手入れが必要となる点があるので、比較して選びましょう。

カートリッジ|万年筆初心者さんおすすめ

カートリッジ

「カートリッジ式」は専用カートリッジを差し込むだけで簡単にインク補充ができる方法です。メンテナンスも不要で手軽に補充ができるので万年筆初心者さんにおすすめです。
ただ簡単にインク補充が出来る一方、規定のカートリッジ以外使用ができないという側面があります。自分が好きなインクで書きたい!となった場合は、また別の万年筆を検討する必要があります。

吸入式|沢山書きたい方におすすめ

吸入式

「吸入式」はボトル瓶からインクを吸い上げ万年筆内部に補充する方法です。
吸入式の良い点として、万年筆でしか味わえないこの「万年筆を使っている!」という醍醐味が感じることができる点です。
さらに、
インク容量が大きく沢山書くことができる
万年筆1本で様々なインクを使用することができる点です。
自由度が高い吸入式ですが、補充する時間が必要となる・手やペン先が汚れてしまうなどの手入れが必要になる点もあります。

コンバーター式|2種の方法が使用できる

コンバーター式

「コンバーター式」は、カートリッジと吸入式の両方の方法ができる万年筆のことです。
インクを吸入するコンバーターという部品を使い好きなインクを入れられ、さらにコンバーターを取り外しカートリッジを使用することもできます。つまり2種類の補充方法を両方使用することができます。
ただコンバーターに補充できるインク量はカートリッジと同程度で、吸入式に比べるとこまめな補充が必要になります。
カートリッジか吸入式かで迷う場合は、コンバーターを選んでおくといいでしょう。

万年筆のお手入れ|初心者でも出来るペン先の洗浄

⑤デザイン

デザイン

万年筆は様々なメーカーから発売されており、可愛らしいデザインから高級感のある物までラインナップが豊富で選ぶ楽しみがあります。複数持っておき、今日の気分や使用するシーンで使い分けするのもいいでしょう。
ブランドによってはシリーズ化し、色んな工夫がされた万年筆を発売されているので見るだけでも楽しいですよ。下記の関連記事の「作家シリーズ」も1品1品特徴があり制作側のこだわりを感じることができます。

モンブラン作家シリーズ歴代万年筆まとめ

おすすめ万年筆ブランド

モンブラン(Montblanc)

モンブラン

モンブランはドイツの高級筆記用具メーカーで、モンブランを持つことでステータスにもなる筆記具の代表格のブランドです。
その品質は高く、初心者の方でも美しい文字が書けると世界中で人気があります。
万年筆愛好家を虜にする書き心地は一生物として使える最高峰ブランドです。

ペリカン(Pelikan)

ペリカン

ペリカンは子供向けから上級者向けまで豊富なラインナップで全世界で人気の筆記具ブランドです。
ペリカンの中でも圧倒的人気のある「スーベレーン」はドイツ語で“優れもの”という意味を持ち、万年筆の人気コンテスト「ペンオブザイヤー」にも選ばれるほど、機能性・デザイン性・書き味、全てのバランスに優れている万年筆です。

パーカー(PARKER)

パーカー

パーカーは老舗筆記具メーカーで、伝統と現代を融合したスタイリッシュなデザインが熱烈的な人気を集めているブランドです。
「世界で最も愛されているペン – The Most Wanted Pen -」と称される名品を数多く排出しており、デザイン性・技術ともに高い評価を得ています。

プラチナ(PLATINUM)

プラチナ

プラチナ万年筆と言えば、国産万年筆の御三家と呼ばれる人気筆記具ブランドです。
カートリッジインキ式の万年筆実用化に世界で初めて成功したことでも有名です。
またインクの乾燥によりペン先が固まってしまうトラブルを防ぎ、1年以上使用していない万年筆でもお手入れ不要でスラスラと書きだすことができる「スリップシール機構」を開発した技術力のあるメーカーです。

ラミー(LAMY)

ラミー

ドイツの筆記具ブランドラミーは、正しく万年筆の持つことができる独自グリップを開発した高い技術力を持ったメーカーです。ドイツの小学校ではその技術に着目し、ファースト万年筆として推奨しています。
日本でもその初心者さんにも使いやすい品質から万年筆入門編として選ばられることが多く、プレゼントとしても人気があります。

パイロット(PILOT)

パイロット

パイロットは国内トップクラスの筆記具ブランドで、万年筆初心者から上級者まで幅広いラインナップ豊富さが特徴です。万年筆の種類の豊富に加え、ペン先が15種もあり自分に合った万年筆を探し当てることが可能です。
またパイロットの万年筆は価格帯が幅広く、お手頃価格(1,000円~)から十万を超えるものまであり、初心者から万年筆愛好家まで愛されているブランドです。

初心者さんでも大丈夫!万年筆で綺麗な文字を書くコツ

万年筆の持ち方のコツ

万年筆の持ち方のコツ

筆記角度は45度~60度

万年筆はペン先の表部分・ブランド名や素材などの刻印がされている面を上にして持ち、他の筆記具と同様に、箸を持つように手を添えます。筆記角度はやや寝かせて書くイメージで45度~60度程度を意識するといいでしょう。
またペン先にあるペンポイントを左右均等に紙面にあてることを意識すると、統一感のある綺麗な文字を書くことができます。

リラックスした状態で持つ

ボールペンや他の筆記具など他の筆記具には筆圧が必要となりますが、万年筆はペン先を紙面に当てるだけでインクが出てくる構造のため筆圧をかけすぎずリラックスした状態で書きましょう。
慣れない間はつい力み過ぎてしまうこともあると思いますが、そんな時は全ての指を添えるのではなく小指や薬指を少し離してみると筆圧が分散されスムーズに書くことができます。筆圧をかけすぎてしまうと「ペン先が左右に開く」「曲がってしまう」などのトラブルが発生してしまうので注意しましょう。

万年筆の書き方のコツ

万年筆の書き方のコツ

正しい状態で書く

上記でもお伝えしたように、万年筆はペン先の表部分を上にして持ち、やや寝かせ気味(45度~60度程度)にペンポイントを均等に紙面にあてるのが正しい状態です。
初心者さんによく見られる書き方として、紙面に対してペンポイントの左右が均等にあてられず片方だけに偏って書いてることがあり見受けられます。
アンバランスな状態で書き続けてしまうとペン先が開いてしまう要因になります。
正しい状態を守ることで綺麗な文字を書くことができ、また万年筆を痛めることなく長期にわたって使用することができます。

とめ・はね・はらいを意識する

綺麗な文字を書くなら「とめ」「はね」「はらい」を意識しましょう。
この3つを意識するだけで読みやすくメリハリ感のある美しい文字になります。 練習するなら「とめ・はね・はらい」が全て入っている「永」の漢字がおすすめです。

万年筆が上達するコツ

万年筆が上達するコツ

やはり慣れない期間は、書き続けることが綺麗な文字への近道です。 ただ「ひたすら書く!」は難しいですよね。 そんな時に楽しんでできる練習方法をご紹介します。

日記を書く

万年筆は使えば使うほど手に馴染む筆記具のため、毎日書き続ける日記は万年筆の練習に最適です。また万年筆は表情が豊かなのでその時々の気分で変わる文字の雰囲気を楽しむことができます。

SNSに投稿してみる

SNSは様々な出会いがあるとても便利なツールです。万年筆ブームである今ではインスタグラムやX(旧Twitter)を利用して万年筆で書いた文章や絵を投稿する方が増えています。
「人に見てもらう」と意識するだけで不思議といつもより綺麗に書けるのでおすすめの練習方法です。「#万年筆」「#万年筆文字」「#万年筆イラスト」などを検索してみてください。 さまざまな作品が見れて刺激になりますよ!

万年筆・初心者さん講座まとめ

今回は万年筆初心者さんに向けて、知っておきたい万年筆の選び方からおすすめブランド、万年筆を使いこなすコツなどをご紹介しました。

現代ではスマートフォンやPCが普及し「文字を書く」という行動が少なくなりつつありますが、いざという時に美しい文字を書けるのは一種のステータスになります。

ぜひ「これだ!」と思う万年筆に出会い、手書きの楽しさを思う存分味わってください。
最後までお読みくださりありがとうございました!

おすすめ記事