毛皮の種類と見分け方:初心者でも分かる素材別ガイド

毛皮の種類と見分け方:初心者でも分かる素材別ガイド

毛皮とは

古来より人々は動物の革・毛・肉など全てを衣・食・住の中に取り入れ、身近なものとして生活してきました。

中でも【衣】としての毛皮は、高級なアイテムとして地位や権力の象徴となって現代まで伝わり、人々の憧れのアイテムと認識されており防寒具としての機能はもちろんのこと、ファッションの一部として浸透しています。

現在では動物愛護の観点から毛皮文化は衰退しつつあり、グッチ・プラダ・コーチといった世界的なファッションブランドが毛皮製品を取り扱わない「ファーフリー」を掲げているため生産数が減り、毛皮の希少価値が高まっています。

昔のものだからと袖を通さなくなった毛皮のコートや毛皮の襟巻を保管したままだと、売却しやすい時期を逃してしまうかもしれません。

お持ちの毛皮の種類によっては価値が高いものが眠っている可能性がありますので、代表的な毛皮の種類や毛皮の特徴、手触りなどを知っておきましょう。

毛皮の種類を理解しよう

毛皮には「刺し毛(さしげ)」と「綿毛(わたげ)」があります。

刺し毛は硬くて長いものが多く、動物の体を外的要因から守る役割を持ち、動物の種類によっては水を弾くような耐水性をも兼ねそろえています。また、動物の色や模様といった特徴は主に刺し毛で構成されています。

綿毛は刺し毛より柔らかで短く密生しており、空気の層を作るため外気温から体を守り、体温の発散を防ぐなどの保温性に優れています。

毛皮は動物の数だけ種類がありますが、毛皮製品として主要なものを紹介します。

ミンク(Mink)

毛皮の種類と見分け方-ミンク
特徴 世界中でメジャーな種類で、人気も高い種類。「毛皮の女王」とも呼ばれています。
近年出回っているミンクはほとんど養殖ミンクのため、カラーバリエーションも豊富。特に多いのは黒やこげ茶や薄茶色など。
「サガミンク」など毛皮生産団体ブランドタグが付いたものがあります。
手触り シルキーな光沢感がある刺し毛と、密集した綿毛のバランスで、艶々とした手触りが特徴的。

フォックス(fox)

毛皮の種類と見分け方-フォックスFOX
特徴 シルバーやホワイト、ブルー、ブラウンなどカラーバリエーションが豊富で、色々な表情が楽しめます。
手触り 刺し毛が長く、綿毛が密集しているため見た目と手触りのボリュームを感じるのが特徴です。
コートなどはとてもゴージャス感が出ます

ラビット/ラパン(Rabbit/Lapin)

毛皮の種類と見分け方-ラビットラパンLapin
特徴 比較的低単価で手に入りやすいのがラビットの特徴で、ファーやニットの一部としてファッションに取り入れることの多い素材。
染色されたものも多いためカラーバリエーションが豊富です。ニットなどに編み込んだデザインは軽くて暖かい為、若い世代にも人気です
手触り 毛足が長く、ふわふわの綿毛のため柔らかい手触り。欠点としては刺し毛が折れやすく毛が抜けやすい点。
劣化したラビットは毛抜けが目立ちます

チンチラ(Chinchilla)

毛皮の種類と見分け方-チンチラChinchilla
特徴 その手触りから、最も美しく最も高価な毛皮のひとつです。
一般的によくみられるのは黒から白へのグラデーション模様です。
手触り 艶やかな長い毛足がまるでシルクのような手触りで、少しひんやり・しっとりとしているようにも感じます。
一度触るとずっと触れていたくなる、そんな手触りです。

セーブル(Sable)

毛皮の種類と見分け方-セーブルSable
特徴 セーブルとはイタチ科の動物で、ロシアンセーブル・カナディアンセーブルなどの品種があり、一般的に最高級品と言われ非常に人気が高く「毛皮の王様」とも呼ばれています。
特に白や銀色といったカラーのセーブルは希少価値が高い傾向にあります。
手触り ミンクにも似た手触りですが、ミンクよりも少し毛足が長く、鋭い刺し毛の中に密生した綿毛が、光沢感と柔らかさを生み出しています。

ウィーゼル(Weasel)

毛皮の種類と見分け方-ウィーゼルWeasel
特徴 ミンクとよく似た毛並みを持ち、日本ではイタチと呼ばれる種類。主に北半球に分布し、生息地域によって毛並みが異なるため、米国産はアメリカンウィーゼル、日本産はジャパニーズウィーゼル、中国産はチャイニーズウィーゼルと区別して呼ばれる。近年日本で扱われるものは中国産が主となります。ミンクと非常によく似ているため、素人目では判断が付かないこともあるため注意が必要です。
手触り ミンクと間違われることや比較されることが多いウィーゼル。刺し毛は短くチクチクとした手触りで、刺し毛の内側になる綿毛はフワフワ・しっとりとしています。ミンクよりも光沢感・艶などが劣るため、比較的ミンクよりも安価で手に入ることがあります。

ラム(Lamb)

特徴 毛足がカールしているのが特徴的で、毛足が短いもので独特の波模様をしているものもあります。
ラムに綿毛はなく、刺し毛だけの構造です。巻き毛の形状は様々あり、カラクルラム(Karakul lamb)・カルガンラム(Kalgan Lamb)・チキャンラム(Chekiang Lamb)チベットラム(Tibet Lamb)・ベビーラム(Baby Lamb)といった種類があります。
南西アフリカ産カラクルラムには商標名「スワカラ(SWAKARA)」が付けられ、通常の巻き毛とは違い美しい波模様の凹凸が付いていることが特徴です。
手触り 刺し毛だけのため、チクチクとした手触りですが、種類によっては厚みのある巻き毛部分がふわふわとした手触りを楽しめます。

リス(Squirrel)

特徴 グレーからブルー系の色合いで、密度の高い毛のものほどグレードが高い。軽くて暖かいためコートの裏地に使われることもあり、尾の部分はフェイスブラシなどにも活用される。
手触り 非常に短い毛でシルクのような滑らかな手触り。

ヌートリア(Nutria)

特徴 ビーバーに似た動物で、水辺に巣を作ることから耐水性に富んだ性質の毛皮。
手触り 刺し毛は太くて長いため堅く、手触りをよくするために抜毛や刈毛して長さを揃え、柔らかい綿毛を目立たせる処理を行うことが多い。

ビーバー(Beaver)

特徴 川や湖に生息し、枝や泥などを使ってダムをつくるという変わった性質を持った動物。泳ぎが得意であるため、水に強い密生した綿毛を持つ。
手触り ヌートリアと同じくやや長めの刺し毛は堅いため、抜毛や刈毛して使われることが多いです。

ラクーン(Raccoon)

特徴 ラクーンとはアライグマの事。北アメリカの森林に生息し、しっぽ部分にある黒色と黄褐色の斑紋が特徴的。非常に混同しやすいものとして、チャイニーズラクーン、ロシアンラクーンと呼ばれるものは「タヌキ」に分類されるため別物となります。
>>タヌキとラクーンの違い
手触り やや長めの刺し毛があるため若干硬めの手触りをしています。

タヌキ(Tanuki)

特徴 ラクーンとよく似た毛並み・色合いをしており、名称の面から見ても混同されやすい。これは中国産タヌキの毛皮をチャイニーズラクーン・ロシア産タヌキの毛皮をロシアンラクーンと、「ドッグ」を省略し呼称したのが世界的に広まったことでアライグマとタヌキが混同されてしまったからとされています。その後日本では混同を防ぐため、「チャイニーズラクーン/タヌキ」のように併記することになりました。全体的に灰色と黄褐色が混じったような色合いで、背にある黒い筋のような模様が通っているのが特徴的。
手触り やや長めの刺し毛はシルキーな手触りを生み、内側の綿毛は密に生えているためふわっとしています。

レオパードキャット(Leopard cat)

特徴 東アジア・南アジアなどに生息するベンガル山猫。レオパード柄やヒョウ柄と呼ばれる黄褐色の中に黒色の斑紋が特徴的ですが、ワシントン条約で規制されている種類があるため、流通は少なくなりました。
手触り 短い毛を持ち柔らかい手ざわり。ネコ科ということもあり、ネコを触った感覚を思い出してもらえればイメージしやすいでしょう。

毛皮のブランドタグについて

毛皮の生産地により独自のブランドを立ち上げている団体があり、養殖ミンクなどで高品質の毛皮を扱っています。以下に取り上げたものは主な団体の一部です。

しかしながら、気をつけたいのがタグラベルの付け替えやニセモノも数多く出回っています。

著名なブランドだからこそ悪用されることもある為、盲目的に信じるのではなく、信頼できるお店から買ったり、自分の目で確かめてから購入することをお勧めします。

サガ ファー

フィンランドの毛皮養殖団体で、厳しい品質検査に合格したものに与えられる【サガミンク】【サガフォックス】のブランドネームは安心のステータスとも言えます。

その中でも選び抜かれた最高品質の原皮には【サガロイヤル】の称号がついており、毛皮の内側にその称号とも言えるタグが縫い付けられます。

サガミンクのブランドタグ

サガミンク

サガフォックスのブランドタグ

サガフォックス

サガロイヤルのブランドタグ

サガロイヤル

アメリカンレジェンド

艶やかな漆黒のダークミンク【ブラックグラマ】が有名。その見た目、手触りからまるでビロードのようと賞賛される、高品質なミンクです。

アメリカンウルトラ

タグの下部に描かれた星のマークが有名で、最高品質のものが5つ星、その次に4つ星・・・と続く等級分けがされています。その名のとおりアメリカ原産の養殖ミンク原皮を取り扱う団体です。

カナダマジェスティック

カナダのシンボルであるカエデのマークがタグに描かれて、カナダでの養殖ミンクの8割前後を排出しています。年代などによってタグの種類が違うので注意が必要です。現在日本の中古市場ではあまり見かけない毛皮ブランドとなります。

エンバ

日本のブランドのエンバは、比較的私たちの身近にあるのではないでしょうか。日本国内では全盛期に比べ縮小傾向のあるブランドですが、確かな品質のためいまだ人気が衰えていません。

コペンハーゲンファー(Kopenhagen Fur)

デンマークのコペンハーゲンにある毛皮養殖団体並びに、世界最大規模の毛皮オークションであるコペンハーゲンファー。しかしながら2020年の新型コロナウイルスの影響を受け、デンマーク政府は養殖ミンク強制殺処分、並びにペット以外のミンクの飼育を禁止する法案を進め、コペンハーゲンファーは2023年までにビジネスを終了すると発表しました。品質を表すラベルは上質なものから順に、パープル、プラチナ、バーガンディ、アイボリー(KOPENHAGEN PURPLE、KOPENHAGEN PLATINUM、KOPENHAGEN BURGANDY、KOPENHAGEN IVORY)と呼ばれます。

クローゼットに毛皮のコート眠っていませんか?

バブルの時代に爆発的に人気が出た毛皮のコートや襟巻き。現在のファッションではなかなか使う機会の無いという方もおられると思います。

いざ売ろう!と思っても、買ったときの値段そのままでは売ることはできません。中には大幅な値段の差に驚かれる方もいらっしゃることでしょう。

しかしながら、毛皮は生き物。

お手入れを怠ると、段々と劣化していってしまう為、クローゼットに眠らせておくだけで、気がつくと毛並みに艶が無くなったりと品質の低下があります。

また、日本国内の需要の面でも、日常的に毛皮を身につける人が減っているのも事実です。

こういった点から、どうしても毛皮の買取価格というものは昔に比べて下がっています。

ただ、海外ではその需要はまだまだ見込まれ、特に寒い地方では日常的に使われている為、日本では活躍の機会が減った毛皮でも、海外では高額で取引されています。

こんなに値段が下がるのなら売るのはやめようかなと思いがちですが、逆に海外での販売力がある買取店ならば、比較的値段も考慮してもらえる場合もあるので、捨てたり、放置して劣化させてしまうよりかは売ったほうが有意義になるとも考えられますね。

最後に忘れてはいけないのが、毛皮は生き物の毛で作られています。 毛皮に関する問題や考え方は多数あるのが現実です。

まず第一歩として、着なくなったからといって簡単に破棄してしまうのではなく、リサイクル・リメイクするなどし、1着1着を大切にし末永く利用したいものですね。

ビープライスではミンク・フォックス・セーブル・チンチラなどいろんな種類の毛皮製品の買取を強化しております。使わなくなった毛皮のコートや襟巻、ファー製品のバッグなどがありましたら是非お売りください。

毛皮買取

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