ミンク毛皮の特徴|色や種類の違いとファーコートの買取相場
- ミンク毛皮の特徴とは?
- ミンクファーの歴史
- ミンクの見分け方と似ている毛皮の種類
- ミンク毛皮のブランドは「生産者団体」と「メーカー」に分類
- ミンクの毛皮コートの色と種類
- ミンク毛皮の値段と買取相場
- ミンク毛皮の反対運動と飼育禁止の背景
- シャネル
- フォクシー
- フェンディ
- イヴサンローラン
- エンバ
ミンク毛皮の特徴とは?
ミンク毛皮は、その高級感と美しさから、毛皮の宝石と呼ばれるなどファッション業界で特に人気のある素材の一つです。 最大の特徴は、毛並みの密度が非常に高く、スムーズで柔らかな手触りを持つことです。毛皮自体が軽量でありながら、保温性に優れているため、冬のコートとして世界中で愛用されていました。特にメスのミンクは毛並みが柔らかく密生していることから、高級なミンク製品のほとんどがメスのミンクといわれています。
色合いは一般的に自然なブラウンやダークブラウンが多く見られますが、品種改良によってブラック、ホワイト、グレー、パステルカラーなど、多彩なバリエーションが楽しめるのも魅力の一つです。 硬くて長い刺し毛を刈り取り、柔らかい綿毛のみ残した「シェアードミンク」といった加工が施されたものがあります。
また、現在出回っているミンク毛皮製品のほとんどが野生ミンク(ワイルドミンク)ではなく養殖ミンク(ランチミンク)であり、飼育のしやすさから世界規模でミンク養殖場が運営されていました。
ミンク毛皮は耐久性が高く、正しく手入れをすれば長く使えるから、コストパフォーマンスも良好です。 そのため、中古市場でも価値が維持されやすく、数ある毛皮の種類の中でも買取価格が高い傾向にあります。
ミンクファーの歴史
現代ではファッションとして利用されることの多くなったミンクですが、そもそも保温性の高いミンクの毛皮は寒冷地において、寒さから身を守るための生活必需品であり、シカやクマやイノシシと同じく狩猟し肉や革を利用してきました。
ところがミンクの毛並みの美しさ・保温性・捕獲のしやすさなどから乱獲され、野生のミンクは激減しました。
1860年頃にアメリカで養殖ミンクが成功したことで、カナダなど北米を中心にミンクの飼育がスタート。
日本では1928年にカナダから雄雌2匹のミンクを輸入し北海道で飼育試験を開始し、日本国内でのミンク養殖業がはじまります。太平洋戦争により一時養殖ミンク産業は壊滅状態となるなど紆余曲折がありましたが、昭和の高度経済成長で拡大し、バブル期が最盛期となりました。
2000年代に入ると動物愛護の観点から毛皮製品並びにミンク農場の運営が問題視され、2016年に日本国内における最後のミンク農場が閉鎖となり、国内での毛皮生産は終了しました。
美智子様のご成婚式で注目が集まる
1959年、美智子さま(現在の上皇后)がご成婚式でミンクのストールをお召しになったことで日本中の女性が注目。特に青灰色の「サファイアミンク」と呼ばれるカラーが注目されました。
サファイアミンクは日本人の黒髪に良く映える色として人気が高く、ダークブラウンといった濃いカラーはヨーロッパやアメリカで人気でした。
日本では防寒具としてではなく嗜好品としてミンクファーが流通
ヨーロッパでは防寒具として盛んに毛皮を利用してきた歴史がありますが、日本では毛皮産業の発達が遅くあまり浸透しませんでした。
これはヨーロッパに比べて日本は高温多湿の季節があり、湿気や害虫の影響で毛皮の劣化が早いことが考えられます。なにより、日本国内では毛皮製品が必要なほどの極寒地域が少なく、比較的温暖な気候であるため防寒具としての必要性が低かったのです。
そんな中日本でバブル期がはじまり、爆発的に毛皮のコートや襟巻きが流行。当時は海外ブランド品や金製品、毛皮製品を身に着ける人々で街が溢れかえっていました。
バブル期のブームは防寒具としてではなく、どちらかといえばファッション性を求めて身に付けられていたこともあり、日本でのミンクファー流行は嗜好品であったと考えられます。
ミンクの見分け方と似ている毛皮の種類
ミンクはチクチクとした光沢感のある刺し毛とフワフワと密集した綿毛のバランスがとれていることから、厚みを感じつつも刺し毛のシルキーさを感じることができます。毛皮の宝石と呼ばれるほど人気が高く、はじめての毛皮として購入する方も多かったそうです。
そんな特徴をもつミンクですが、中にはミンクと同じイタチ科に属するためよく似た性質を持った「セーブル」「ウィーゼル」があります。特にロシア産のセーブルは「ロシアンセーブル」と呼ばれ、数ある毛皮の種類の中でも希少性が高く高級毛皮に分類されており、数百万~一千万の市場価格が付くほどです。
毛皮に不慣れな人からすると混同しがちですが、ミンクと比較すると価値が全然違ってきますので、間違わないよう注意が必要です。
種類 | 分類 | 価格 | 毛の特徴 | 色 |
---|---|---|---|---|
ミンク | イタチ科 | ○ | チクチクとした光沢感のある刺し毛とフワフワと密集した綿毛 | 10種以上と豊富 |
セーブル | イタチ科 | ◎ | ミンクに比べて刺し毛がやや長く、そのためシルキーな光沢感がより強く感じる。ミンクよりも毛の細い部分が長めであるため撫でると滑らかさを感じる | 黒褐色・黄褐色等 |
ウィーゼル | イタチ科 | △ | ミンクに比べて毛足が短いため、チクチクした印象が強めに感じる。光沢感は強くない | 黄褐色 |
セーブル
セーブルは「毛皮の王様」と呼ばれることもあり、特にロシア産のセーブルは「ロシアンセーブル」と呼ばれ、チンチラ・リンクスと並ぶ世界三大毛皮とされる高級毛皮です。
美しい光沢と滑らかな手触り: セーブルの毛は、非常に細く密生しており、光を美しく反射して輝きます。また、毛足が長く、まるでカシミアのような滑らかな手触りが特徴です。
耐久性と保温性: 高い耐久性があり、長く愛用できるのも魅力の一つです。また、保温性も非常に高く、寒い冬でも暖かく過ごせます。
希少性: 特にロシアンセーブルは、その品質の高さから非常に高価で、希少価値の高い毛皮として扱われています。
種類: セーブルには、ロシアンセーブル、カナダセーブルなど、産地によって種類があります。ロシアンセーブルは、毛の色が濃く、光沢が強いのが特徴です。
ウィーゼル
ウィーゼルはイタチ科の動物で、その毛皮はミンクに似ていることから「チャイナミンク」と呼ばれることもあります。世界三大毛皮ほどではありませんが、比較的安価で手に入りやすいこともあり、人気の毛皮の一つです。
光沢感と手触り: 毛質がミンクに似ており、柔らかく光沢があります。しかし、ミンクよりも毛足が短く、光沢はやや控えめです。
染色: 自然の色は黄褐色ですが、ミンクやセーブルに似せるために染色されることが多いです。
産地: 中国が主な産地ですが、日本(ジャパニーズウィーゼル)、アメリカ(アメリカンウィーゼル)などにも生息しています。
価格: ミンクやセーブルに比べると、比較的安価に入手できます。
用途: コートやマフラーなど、様々なアイテムに使用されます。
ミンク毛皮のブランドは「生産者団体」と「メーカー」に分類
「毛皮ブランド」というと、「生産者団体」と「メーカー」が混同して認識されがちです。毛皮の生産者団体とはミンクを養殖し毛皮をマテリアルとして提供している団体を指します。「サガ」「アメリカンレジェンド」といった団体があり、取り扱う毛皮は品質によって格付けがされ、オークションなどで販売されています。
メーカーとはマテリアルとして毛皮を使用し、コートや襟巻、バッグといったファッションアイテムを製造するブランドの事です。よく知られているのは「シャネル」「フォクシー」などのブランドです。
毛皮生産者団体
日本を含め世界各国にいくつものミンク飼育施設がありましたが、特に品質の良い毛皮を提供していた団体は信頼できるブランドとして価値が高いとされています。
こうした団体の製品を使った毛皮コートなどには内側にブランドタグが縫い付けられており、高品質なものには「サガロイヤル」「ブラックグラマ」など特別な称号が付けられています。
しかしながら残念なことに、高品質な毛皮の人気が高まったことでタグを付け替えるなどの手口で偽物が多く出回ってしまい、中古市場では真贋判定をしっかり行える買取業者でなければ取り扱いが難しい状況になっています。
また現在ではコロナ禍の影響と動物愛護・環境保護の観点から世界中のミンク養殖場が閉鎖となり、毛皮ブランドは衰退しています。
サガ(SAGA)
サガ・ファーはフィンランドの毛皮養殖団体。厳しい品質検査に合格したものに与えられる【サガミンク】【サガフォックス】のブランドネームは安心のステータスとも言えます。
その中でも選び抜かれた最高品質の原皮には【サガロイヤル】の称号がついており、毛皮の内側にその称号とも言えるタグが縫い付けられます。
アメリカンレジェンド
高品質なミンク毛皮生産団体。アメリカンレジェンドが取り扱うミンクの中でも、艶やかな漆黒のダークミンクは【ブラックグラマ】と呼ばれ世界的にも有名。その見た目、手触りからまるでビロードのようと賞賛される、高品質なミンクです。
カナダマジェスティック
カナダのシンボルであるカエデのマークがタグに描かれて、カナダでの養殖ミンクの8割前後を排出しています。年代などによってタグの種類が違うので注意が必要です。現在日本の中古市場ではあまり見かけない毛皮ブランドとなります。
アメリカンウルトラ
タグの下部に描かれた星のマークが有名で、最高品質のものが5つ星、その次に4つ星・・・と続く等級分けがされています。その名のとおりアメリカ原産の養殖ミンク原皮を取り扱う団体です。
ビープライスはミンク毛皮のコートや襟巻を積極的にお買取いたしております。毛皮査定を得意としたバイヤーが在籍いたしており、リスクヘッジを踏まえた他店での査定価格に納得がいかなかったサガやブラックグラマといったブランド毛皮を、市場価格限界までのお値段でお買取させていただきます。もし使っていない毛皮製品がございましたらビープライスにお持ち込みくださいませ。
ビープライス毛皮買取メーカー
メーカーは毛皮生産者団体などから仕入れた毛皮を使用し、独自のファッションアイテム製品を生み出しています。2000年代以前は毛皮ブームということもありたくさんのファッションブランドから毛皮製品が発表されていましたが、現在では動物愛護や環境保護の観点から毛皮製品を取り扱わない「ファーフリー」を宣言するブランドが増えてきました。
ここに記載しているブランドは「ブーム時に毛皮製品が人気だったブランド」であり、現在では生産をしていない場合があります。
ミンクの毛皮コートの色と種類
ミンクの特徴の一つにその色の豊富さが挙げられます。フォックスやラビット、セーブルなど様々な毛皮の種類がありますが、そのほとんどが1~3色程度の種類であるところ、ミンクは十色以上のカラーがあります。これは養殖産業が活性化していた1930年代頃、突然変異によって黒・茶以外のシルバー系カラーの個体などが生まれたことで色の種類に幅が出てきたためです。
ミンクの色の種類は黒に近い濃い色からブラウン系、ベージュ系、シルバー系と種類が豊富であり、これは他種の毛皮ではあまり見られないミンクの利点です。
ミンク色まとめ
ブラック(black)
アメリカンレジェンドでは艶のある最高級カラーは「ブラックグラマ」と呼ばれる。
ダーク(dark)
黒に限りなく近いダークブラウンカラーであり、「マホガニー」とも呼ばれる。
デミバフ(demibuff)
「デミブラウン」「ルナレーン」などとも呼ばれるベーシックなカラー。
パステル(pastel)
「オータムヘイズ」とも呼ばれることもあるベーシックなカラー。
パロミノ(palomino)
ベージュ系カラーで、「ディアデム」と呼ばれることもある。
パール(pearl)
「トーマリン」と呼ばれることもある、薄ベージュカラー。
シルバーブルー(silverblue)
「シャドー」や「アージェンタ」と呼ばれることもあるカラー。
サファイア(sapphire)
ブルーグレー(青灰色)を指すカラーであり、国によっては「セルーリアン」と呼ばれることもある。
ブルーアイリス(blueiris)
サファイアよりも少し濃い青灰色で、「ルテーシャ」とも呼ばれる。
【その他カラー】
バイオレット
ラベンダー
ホワイト
ミンク毛皮の値段と買取相場
ミンクコートの現状と買取価格の理由
ミンク毛皮の市場価格はここ40年程でどんどん下がってきております。
需要の低下・ミンク養殖産業の縮小や廃止・ハイブランドによる毛皮製品取り扱い終了などにより、新品の毛皮が流通しなくなったこと、ブーム期に流通した毛皮製品は経年劣化により価値の低下などの要因により、毛皮の買取価格は年々下がっているのが現状です。
具体的に例を挙げると、20年程前であればサガミンク(ゴールドタグ)の毛皮ロングコートに30,000円の買取価格が出ていたのに対して、現在では8,000円となっています。※あくまで一例です。
新品購入時、毛皮コートの定価は数十万円した記憶がある方もいらっしゃるかもしれません。いざ売却しようと思ったら数千円の価値と言われショックを受ける方もいらっしゃいます。
楽天やメルカリなどショッピングサイトを見ると、中古の毛皮コートの販売価格のおおよそは10,000円~30,000円という価格帯が多いことがわかります。毛皮が売れにくい情勢にあることから倉庫滞留期間にかかるコストを考えると販売価格の割に買取価格が低いという現象が起こっていると考えられます。
ミンクコートの買取相場
■毛皮ブランド
ロングコート・ショートコートの違いで多少差がありますが、現在ミンクの市場価格相場はおよそ1,000円~6,000円程度となっています。これはサガ(SAGA)・アメリカンレジェンドといった毛皮養殖団体のブランドタグが付いた製品の場合です。状態が良ければ9,000円といった価格が出る場合もありますが、買取店によって査定額に差が出やすいため9,000円が付いたら良い方でしょう。
■アパレルブランド毛皮
シャネル・フェンディ・フォクシーといったアパレルブランドが販売した製品の場合は、ブランドとしての価値が加味されることから、10,000円を超える買取価格が出るでしょう。製品の状態や定価、購入から何年経っているかなどにより価格の幅があり、場合によっては20万円以上の高価買取となる場合もあります。
■ノーブランド
ブランドタグがない、または知名度の低いブランドである場合、毛皮の買取価格は100円~5,000円となっています。買取店が独自に行っている買取価格アップキャンペーンを利用したり、何点かをまとめて査定に出すなどの工夫を行ったり、毛皮の状態がよければ5,000円を超えることがあります。
※こちらに掲載の価格は実際の買取価格に近い金額を掲載しております。毛皮買取は価格の幅が出やすく、高額買取になるのはごく一部の製品のため、あまりに高い買取価格を掲載しているサイトは情報が古い場合や、実際の買取価格ではない価格掲載をしている場合がありますのでご注意ください。
ミンク毛皮の反対運動と飼育禁止の背景
現在では動物愛護の観点から毛皮文化は衰退しつつあり、グッチ・プラダ・コーチといった世界的なファッションブランドが毛皮製品を取り扱わない「ファーフリー」を掲げているため生産数が減っています。
ファッション業界での毛皮需要が高かった20世紀中頃から、動物権利団体が抗議活動を展開し、毛皮使用の倫理的問題が広く認知されるようになり、世界中で毛皮製品が減少しているのです。
ミンク養殖場においてはこうした流れを受け、オランダやデンマークなど、伝統的に毛皮産業が盛んだった国々でも、ミンク農場の廃止が決定されました。特に新型コロナウイルスがミンクに感染し、感染源となるリスクが指摘されたことも影響を与えました。
毛皮製品に対する需要は依然として存在しますが、エコファー(フェイクファー)などの代替素材の登場により、持続可能なファッションへの意識が高まりつつあります。動物愛護と環境保護を重視する消費者が増える中、ミンク毛皮を取り巻く状況は変化しています。
デンマークのコペンハーゲンにある毛皮養殖団体並びに、世界最大規模の毛皮オークションであるコペンハーゲンファーは、2020年の新型コロナウイルスの影響を受けたデンマーク政府の養殖ミンク強制殺処分、並びにペット以外のミンクの飼育を禁止する法案により、2023年までにビジネスを終了すると発表しました。
ビープライスではミンクはもちろんのこと、フォックス・セーブル・チンチラなどいろんな種類の毛皮製品の買取を強化しております。使わなくなった毛皮のコートや襟巻、ファー製品のバッグなどがありましたら是非お売りください。
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