実家じまい・生前整理とは|それぞれの違いと進め方リスト

終活について調べていると「実家じまい」や「生前整理」などの言葉をよく耳にするかと思います。どちらも大切な人生の節目に関わる重要な作業となっています。

ご両親がご健在のうちに、実家やご自身の将来について考えることは、残されたご家族の負担を減らし、ご自身の希望を実現するために非常に重要です。
しかし、「生前整理」と「実家じまい」という言葉は聞くけれど、具体的に何が違うのか、自分の場合はどちらを選べばいいのか、いつから始めればいいのかと悩んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

この記事では、「生前整理」と「実家じまい」の違いを明確にし、あなたの状況に合わせた最適な選択肢を見つけるためのヒントと、具体的な進め方について解説します。

実家じまい・生前整理の違いとは?

実家じまい・生前整理、どちらも大きく分類すれば「終活」に関する行動ですが、目的や対象が異なります。

  • 実家じまい
    不動産としての家と、その中の物を「手放す」前提で整理すること。
  • 生前整理
    現在の暮らしを快適にし、未来の家族の負担を減らすために、自身の所有物を整理することです。

実家じまいと生前整理の費用比較

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生前整理      実家じまい備考・差が出る理由
家財・不用品の処分費約5万〜20万円約10万〜40万円生前は少しずつ進められるため人件費・作業費が安価
遺品整理費基本不要約15万〜50万円子供主体の場合、専門業者に依頼するケース増
解体費約100万〜180万円 補助金申請も可能
相続・名義関連手続き約5万〜10万円約10万〜30万円 親が不在の場合は手続きが複雑化し、高額になることも

実家じまいと比較すると、生前整理は「自分の意思で」「少しずつ」「無理なく」進められるため、結果的にコストも抑えやすい傾向にあります。

親の死後に行う実家じまいは、「急に」「短期間で」「感情的な負担も大きく」なりやすく、生前整理と比べると費用も跳ね上がる傾向にあります。
また、実家を空き家のまま放置することで、固定資産税や光熱費・維持費なども追加でかかってくるので、早めの対策がおすすめです。

それぞれの特徴を、詳しく見ていきましょう。

実家じまいとは

実家じまいは、その名の通り、親や親族が住んでいる(または住んでいた)実家を整理・処分することを指します。
多くの場合、空き家になる家を売却・解体・譲渡などの形で手放すことが前提です。

実家じまいのタイミング

従来は所有者の死後に相続人が処分することが多く、一般的です。
ですが、近年社会問題にもなっている空き家問題を受けて、最近では所有者(親世代)が率先して処分するケースも増えています。

実家じまいをするメリットは?

放置された空き家は、屋根などが飛ばされて通行人がけがをしてしまったり、犯罪者が住みついてしまうなどの危険があります。実家じまいによって、こうしたリスクを防ぐことができます。

実家じまいの主な対象物

  • 空き家となった実家の家財道具の整理・処分
  • 不動産の売却、賃貸、あるいは解体
  • 電気、ガス、水道などのライフラインの解約手続き
  • 近隣住民への挨拶や自治体への連絡

空き家があるなら早めの処分を!
家は誰も住まなくなるとすぐにボロボロになってしまうものです。
固定資産税や火災保険・地震保険などランニングコストもかかるため、空き家になる場合は早めの処分がおすすめです。

生前整理とは

人生の終盤に向けて、自分の財産・持ち物・情報などを整理し、身の回りをすっきり整えることを「生前整理」といいます。
物の片付けだけでなく、エンディングノートの作成や相続の準備なども含まれます。

生前整理のタイミング

少しでも「生前整理」に興味を持ったとき、思い立ったそのときが、生前整理に取りかかるベストなタイミングになります。
早いうちに始めることで、体調の良いときや過ごしやすい季節を選んで取り組めるほか、無理せず少しずつ、自分のペースで生前整理を進められます。

生前整理をするメリットは?

将来、家族への負担を減らし、自分自身も安心して残りの人生を過ごすことができます。
また、自分の意志で物を処分することができ、心が整理され、前向きな気持ちで日々を過ごせるというメリットもあります。

生前整理の主な対象物

  • ご自宅にあるものの整理・処分
    衣類、書籍、家具、思い出の品など
  • 情報の整理
    パソコンやスマートフォンのデータ、SNSのアカウントなど
  • 預貯金、不動産、有価証券などの把握・整理
  • 人間関係の見直し
  • 今後の予定を明確にする
    延命治療の希望、介護の方針、遺言状の作成など

あなたは該当する?実家じまい・生前整理が必要なサイン

以下のような状況に心当たりがある方は、早めに実家じまいや生前整理を検討するのがおすすめです。

実家や親族に関する状況

  • 空き家を所有している
  • 兄弟姉妹の誰も「実家に住む意思」がない
  • 高齢の親族が一人で実家に住んでいる
  • 親の介護が必要になってきた/すでに施設や病院に入所した
  • 実家が老朽化し、維持費や管理の負担が大きくなっている

自発的な準備の意志がある人

  • 親が元気なうちに、自身のペースで準備を進めたい
  • 将来の相続や不動産売却について、事前に準備しておきたい

あなたの状況に合わせた最適な選択肢は?

実家じまいと生前整理、どちらを選ぶべきかは、ご両親のご状況やご自身の状況によって異なります。

「実家じまい」を検討すべきケース

実家が空き家になった

ご両親が亡くなられた、あるいは施設に入居するなどで空き家となってしまった場合、誰も住まなくなった実家は、固定資産税や庭木・建物の管理、近隣対応など多くの負担が発生します。
放置すれば老朽化が進み、資産価値が下がるだけでなく、近隣トラブルの原因になることもあります。

実家の生前贈与のメリットを知り、検討している

実家を生前贈与することで、将来の相続財産を減らし、相続税の負担を軽減できます。
また、生前に財産を分割しておくことで、相続時の遺産分割協議でのトラブルを未然に防ぐことができます。本人の意思が明確な状態で贈与を行うため、後々の争いを避けやすくなります。

実家を相続したが、誰も住む予定がない

兄弟姉妹の誰も住む意思がない場合、空き家として残すだけでは管理費や防犯の面でリスクが高まります。将来的な売却や処分も視野に入れ、早めに方向性を決めることが重要です。

実家の売却や賃貸を検討している

不動産として活用するには、家の中の整理や清掃、必要に応じた修繕が欠かせません。家財道具がそのままでは買い手や借り手に悪印象を与えかねないため、整理・撤去を計画的に進める必要があります。

「生前整理」を検討すべきケース

親が自身で判断できる状態にある

ご両親がまだしっかりしていて、自分の意思をしっかり伝えられる状態であれば、生前整理のベストタイミングです。
「どの品を残したいか」「形見分けはどうするか」「相続の希望」など、ご本人の考えを反映しながら丁寧に進めることができるため、家族間のトラブルを避ける上でも大きな効果があります。
また、親自身が「自分のことを自分で決められた」と納得感を持てるのも、生前整理の大きな意義です。

将来的な実家じまいを見据えている

「いずれ実家を片付けなければ」と感じていても、家にはまだ住み続けたいし、いきなり家全体の整理に取りかかるのは心身ともに大きな負担になります。
そこで、まずは自分の部屋や収納スペース、日用品など小さな範囲から整理を始めることが大切です。
日常生活に支障のない範囲から取り組むことで、整理の習慣がつき、心のハードルも下がっていきます。
実家じまいを見据えた「準備段階」として、生前整理を活用するのはとても現実的なアプローチです。

相続トラブルを未然に防ぎたい

「相続」で揉めたくない、家族に負担をかけたくないという思いから、生前整理を始める方も増えています。
預貯金や不動産、保険、証券といった財産関係の整理はもちろん、通帳やパスワード、重要書類の保管場所、関係者への連絡先など、デジタルや書類上の情報整理も重要です。
生前贈与や遺言書の準備も視野に入れれば、法律的なリスクを減らし、安心して備えることができます。

生活スペースを確保しておきたい

年齢とともに、生活動線や住環境を見直す必要が出てきます。
例えば、介護が必要になったときに備えて、あらかじめ不要な家具や物を減らしておくことで、バリアフリー化や介護ベッド・手すりの設置がスムーズに進みます。
生前整理は「捨てる」ことではなく、これからの暮らしやすさを整える前向きな作業でもあります。

迷ったらまず行動!

実家じまいや生前整理は、考えているだけでは進みません。まずは小さなことから始めてみることが大切です。
身近な場所から片付けを始めたり、家族で話し合いの機会を設けたりすることから始めましょう。

もし、それでも一歩踏み出せないと感じたら、同じような状況を経験された方のブログや体験談を読んでみるのも良いでしょう。きっと共感できる部分や、具体的なヒントが見つかるはずです。

リユース相談本舗では、実家じまい・生前整理を検討しているけど、どのように動けばいいのかわからない方でも、その人に寄り添った方法をご提案をさせていただきます。
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生前整理と実家じまい|やることリスト

ここからは、実際の実家じまい・生前整理を進めて生き方をご紹介します。
やることリストに沿って始めてみましょう。

実家じまいの進め方

STEP1:現状把握

☑ 実家の権利関係を確認(登記簿謄本取得)
☑ 固定資産税・火災保険等の年間費用を算出
☑ 近隣住民への状況確認
☑ 家財道具の把握

STEP2:方針決定

☑ 売却 or 賃貸 or 解体の方向性を決定
☑ 家族間での合意形成
☑ スケジュールを組む
☑ 予算を設定(50〜200万円程度)

STEP3:実行

☑ 重要書類・貴重品の仕分け
☑ 売却可能品の査定・処分
☑ 粗大ゴミ・不用品の処分
☑ 電気・水道などライフラインの解約
☑ 不動産の処分手続き

生前整理の進め方

STEP1:意識共有

☑ 本人の意向確認
☑ 家族での話し合い
☑ 整理の範囲・ペースの決定
☑ 「何のため」の目的を明確化

STEP2:書類・財産整理

☑ 通帳・証券・保険証書の整理
☑ 重要な連絡先リスト作成
☑ パスワード・ID情報の整理
☑ エンディングノートを作成開始

STEP3:物品整理

☑ 衣類の整理(まずは季節外れから)
☑ 書籍・雑誌の整理
☑ 思い出の品の仕分け
☑ 家具・家電の見直し

家族との話し合いのポイント

実家じまい・生前整理を円滑に進めるためには、家族との話し合いがとても重要です。
特に親が元気なうちに、家族全員が納得のいく形で進めるためには、以下のポイントを意識することが大切です。

親の意思を尊重する姿勢を持つ

生前整理はあくまで本人のための準備です。
「捨ててしまおう」「早く片付けよう」という主導的な態度ではなく、親が「どうしたいか」「何を大事にしているか」をしっかり聞く姿勢が信頼関係につながります。

無理に進めず、気持ちの整理を待つ

特に高齢の親にとっては、物を手放す=人生の区切りと感じることもあり、心の準備ができていない場合もあります。
急かすのではなく、本人の気持ちに寄り添いながら、時間をかけて話すことが大切です。

話しづらいテーマは「きっかけ作り」から
「親の友人が亡くなった/介護施設に入った」「相続で揉めた知人の話を聞いた」「メディアや本で終活の特集を見た」など、自然な話題から入るとスムーズに会話が始められます。

生前整理・実家じまいの片付けポイント

どちらにも共通する「片付け」。
最低限の物以外は処分する必要があり、効率的に進めるためのポイントをご紹介します。

自分の手で始めてみる

人は年齢を重ねると物を捨てられなくなりやすく、「もったいない」と感じてしまう方も多いでしょう。
どうしても片づけられないときは不用品回収業者に依頼するとしても、まずは自分の手で片づけ始めることをおすすめします。中から掘り出し物が見つかる可能性もあります。

実家じまいはどこから始める?うんざりしにくい片付けの手順

売れるものは売る

意外と「これって売れるのかしら?」と思うものでも売却可能であることもあります。リサイクルショップやフリマアプリなどを活用して、まずは売れるものを売ってしまいましょう。

【片付けで役立つ】実家じまい売れるもの・売れないものリスト

費用を抑える工夫

ある程度片付けが済んだ段階で不用品回収にお願いすることで、費用を抑えられます。全てを業者に任せるのではなく、自分でできる範囲を見極めることが重要です。

実家じまいの節約術|片付け業者の費用と自力対応の差を比較

まとめ|早めの生前整理・実家じまいを

ご自身やお子さまの将来を考えると、やはり早めの生前整理・実家じまいが大切なのだと痛感します。

もちろん、今すぐすべてに取り掛かる必要はありません。
先を見据えて「どうするのか」を考えることがとても重要なのです。

一方で、この記事を読んで「生前整理・実家じまいを始めよう」と思い立った方は、自分のペースで丁寧に進めていくことをおすすめします。
早くしなければ!と焦り、早急に取り掛かると、かえってトラブルにつながってしまうこともあるからです。

家族同士でじっくりと話し合い、少しでも疑問や不安を感じる場合は専門家に相談することで、後悔のない生前整理・実家じまいを実現していただければと思います。