仏壇処分の閉眼供養|お布施や浄土真宗などの宗派による違い

長年大切に祀ってきた仏壇を、やむを得ず処分しなければならなくなった——。
仏壇を処分する際に大切なのは「閉眼供養」をおこなうことです。

本記事では、そもそも閉眼供養は何を指すのか、意味や必要性、宗派や地域ごとの違い、さらに仏壇を正しく処分する方法までを詳しく解説します。
また、仏壇が複数ある場合など、イレギュラーなケースへの対処法についてもご紹介します。

閉眼供養(魂抜き)ってなに?

閉眼供養(へいがんくよう)とは、長年使用してきた仏像や仏具、位牌、遺影などを手放す前に、感謝と供養の気持ちを込めて行う儀式のことです。
役目を終えた仏具に宿る“魂”を抜く、いわば区切りの儀式とされ、多くの場合、処分や買い替えの前に行われます。

寺院によっては「魂抜き」「お性根抜き」とも呼ばれることもありますが、どれも同様の意味合いを持つ儀式です。

閉眼供養とは|仏壇処分での魂抜きの方法とお布施や注意点

閉眼供養は必要?しなくてもいい?

閉眼供養を行わなかったからといって、法律的・現実的にトラブルが起こるわけではありません。
しかし、仏具や位牌を処分する際に「そのままで本当にいいのかな…」と迷いを感じる方も多いものです。

閉眼供養を行うことで、気持ちに整理がつきやすくなり、仏壇や故人への感謝を込めた“お別れ”の場としての意味も果たします。
特に長年家族を見守ってきた仏壇に対しては、敬意をもって送り出したいという方にはおすすめの儀式です。

閉眼供養のお布施代はいくら

お寺のお布施代は基本的には「お気持ちで」なので、関係性や、その土地の相場によって異なります。閉眼供養のお布施は一般的には1万円〜3万円程度とされています。
事前にお寺に相談し、適切な金額を確認しておくとよいでしょう。
地域や寺院の規模によっても変わりますので、まずは一度尋ねてみましょう。

そもそもお布施とは?

仏教の教えに基づく「布施行(ふせぎょう)」の一種で、「見返りを求めずに他者に施す」ことを尊ぶ行為です。
「お布施」はその一つの形であり、感謝の気持ちや敬意を込めて、僧侶やお寺に金銭や物品をお渡しすることを指します。

一般的には、葬儀や法要などでお経をあげていただいた際にお渡しすることが多いですが、日頃の感謝やお寺の活動を支援したいという思いから、寄付の形でお渡しすることもあります。

宗派ごとに閉眼供養の方法は異なる

閉眼供養は、仏壇や位牌から魂を解放し、役目を終えてもらうための儀式ですが、その進め方や読経の内容は、宗派ごとに異なる考え方や形式に基づいて行われます。

日本には多くの仏教宗派があり、それぞれに独自の教義や儀礼の作法があるため、閉眼供養も一律ではなく、宗派のしきたりに沿って行われるのが一般的です。

決まった宗派、菩提寺がない場合は?

本来であれば、ご先祖の供養をお願いしている菩提寺に依頼するのが基本です。ですが、もし「菩提寺がない」「宗派がわからない」「近隣に頼れるお寺がない」といった場合でも心配は不要です。

このような場合は、宗派が異なっていても多くのお寺で閉眼供養を受け付けてもらえます。
まずはお近くのお寺に相談してみましょう。事情を話せば、柔軟に対応してくれることが多いです。

有名宗派の閉眼供養の方法

真言宗

真言宗は密教の一派で、難解な経典やマントラを用いて供養を行います。閉眼供養においても、真言を唱えることが重要視されます。真言宗では、大日如来を本尊とし、その力によって故人の魂が安定するよう祈ります。
実際の儀式では、護摩(ごま)と呼ばれる火を焚く儀礼を行うことが多く、燃え上がる炎によって霊を浄化し導くとされます。

浄土宗

浄土宗は、阿弥陀仏の慈悲によって極楽浄土へ往生することを願う教えが特徴です。
閉眼供養では、僧侶が「南無阿弥陀仏」と念仏を唱えながら読経を行い、故人の成仏と浄土への旅立ちを祈念します。焼香や礼拝も供養の一環として行われます。

曹洞宗

曹洞宗は、坐禅を中心とした修行を重視する禅宗の一派です。
閉眼供養では、読経や焼香に加え、家族や参列者が一緒に坐禅を組むこともあり、静寂の中で故人の冥福を祈ります。供養には「般若心経」がよく用いられます。

臨済宗

臨済宗は禅宗の一つで、「看話禅(かんなぜん)」を通じて悟りを開く“自力本願”の教えを持ちます。
閉眼供養では、釈迦牟尼仏を本尊とし、寺院によって「般若心経」や「金剛般若経」などを読誦します。
現在14もの宗派に分かれており、供養の形式は寺院や宗派の分派により異なりますが、共通して心静かに祈る姿勢が重視されます。

天台宗

天台宗は、法華経を中心とした教えで「すべての人が仏になれる」と説く宗派です。
閉眼供養では、読経や焼香に決まった形式は少なく、阿弥陀如来や釈迦如来など、寺院ごとに異なる本尊をまつる柔軟なスタイルです。お線香の本数なども厳格な決まりがない点が特徴です。

日蓮宗

日蓮宗は「南無妙法蓮華経」の題目と法華経を信仰の柱としています。
閉眼供養では、「妙鉢」や「木柾(もくしょう)」など特有の法具を用いながら、読経・焼香を行い、最後にお焚き上げで締めくくる流れが一般的です。

日蓮正宗

日蓮正宗では、宗祖・日蓮大聖人を本仏とし、御本尊や過去帳、墓石などには供養を行いますが、仏壇には供養を行わないのが特徴です。
閉眼供養が必要な仏具かどうかを、宗派の教義に則って事前に寺院に確認することが重要です。

キリスト教など

キリスト教では、人の死は神(主)のもとに帰るものとされ、魂が仏壇に宿るという考え方はありません。
そのため、仏壇自体を置く習慣がなく、処分にあたって宗教儀式を行う必要もありません。実家じまいなどで仏壇を処分する際も、形式的な対応はとられないのが一般的です。

仏壇の処分は他宗派とは異なる浄土真宗

浄土真宗の基本的な教え

浄土真宗では、「仏壇や位牌に魂が宿る」という考え方はありません。
そのため、他宗派で行われるような閉眼供養(魂抜き)の儀式は不要とされています。

とはいえ、仏壇を処分する際には儀式をおこないます。
遷座法要(せんざほうよう)」と呼ばれる、感謝の気持ちを込めた読経やお勤めをお寺にお願いするのが一般的です。

「遷座法要」は閉眼供養と異なる?

遷座法要とは、仏壇を処分したり移動したりする際に、ご本尊(仏様)にお戻りいただく、あるいは移っていただくという意味合いで行う法要です。

閉眼供養とは考え方が異なりますが、感謝の心をもって仏壇を見送るという点では共通しています。
形式よりも「敬意と感謝」を大切にするのが浄土真宗の姿勢といえるでしょう。

浄土真宗における位牌の扱い方

浄土真宗では、位牌を“魂の依り代”とは考えないため、基本的に位牌は使用しません。
葬儀の際に使用される白木位牌が残っている場合は、法名(戒名にあたるもの)を過去帳に書き写し、白木位牌はお焚き上げに出すのが通例です。

仏壇処分後の位牌は無料で処分できる?供養やお焚き上げの費用

浄土真宗の仏壇処分の正しい手順

1.遷座法要の依頼

処分前に、お世話になっているお寺に連絡をして遷座法要をお願いしましょう。

2.本尊や法名軸の扱い

仏壇内にある阿弥陀如来の掛け軸や木像、脇侍、法名軸などは処分せず、丁重にお寺へ納める(預ける/お焚き上げしてもらう)のが一般的です。

3.仏壇本体の処分

法要を終えた後、仏壇本体はお寺や粗大ごみなどで処分できます。それらが難しい場合は、仏壇も取り扱っている不用品回収業者に相談するとスムーズです。

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閉眼供養?お性根抜き?地域による違いや特色

閉眼供養・魂抜きは、宗派によって読経の内容や儀式の意味が異なるだけでなく、地域によっても呼び方・費用・習慣に違いがあります。
特に実家の片付けや、親族が各地に分かれている場合など、こうした地域差を知っておくと役立ちます。

関東と関西の違い

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関東関西
呼び方閉眼供養、魂抜きが一般的お性根抜き、魂抜きが多い
儀式の簡素さ比較的簡素な儀式が主流儀式を重んじ、読経が長めになる傾向
お布施相場3万円〜5万円(都内基準)2~4万円程度
時間30分~1時間程度1時間以上かけることも
スタイルフォーマルな服装が求められる傾向関東よりもやや柔軟な場合がある

関西では地域のつながりを大切にした供養スタイルが根強く残っています。
一方、関東では効率を重視したやや簡略化されたスタイルが定着しています。

都市部と地方の違い

都市部の特徴

都市部では、忙しいライフスタイルに合わせた合理的な対応が主流です。

  • 費用面:相場はやや高め
  • 儀式の簡易化:読経の時間短縮や略式対応が増加
  • 出張サービス:僧侶や業者の出張サービスが充実
  • 予約の混雑:希望日が埋まりやすく、早めの手配が必須
  • 専門業者の多さ:仏壇処分・供養の一括依頼がしやすい

地方の特徴

地方では、地域文化やつながりを大切にした丁寧な供養が行われています。

  • 費用面:都市部と比べて比較的安価なことが多い
  • 伝統重視:宗派や地域の慣習に基づいた正式な供養が重視される
  • 地域の関与:親族や近隣住民が参列することも
  • 時間的余裕:ゆとりあるスケジュールで、丁寧に儀式が進められる傾向
  • 地域特有の習慣:お布施のほかに、お菓子や手ぬぐいなどを用意する風習もある

それぞれの地域で、その土地ならではの文化や考え方があり、どちらが正しいというわけではありません。
大切なのは、ご家族の想いや事情に寄り添った無理のない形で仏壇を見送ることです。

都市部では利便性を、地方では心を込めた丁寧な供養を。地域に合った方法を選ぶことで、後悔のないご供養ができるでしょう。

特殊なケースへの対応

複雑な家庭事情や特殊な状況では、一般的な閉眼供養の方法では対応が難しいケースがあります。
ここでは、そのような特殊な状況での対処法をご紹介します。

複数の宗派に関わっている場合

状況例

  • 夫婦でそれぞれ異なる宗派だった
  • 改宗歴があり、複数の宗派の仏具が混在している
  • 祖父母・両親・自分たちで宗派が異なる
  • 嫁ぎ先と実家の宗派が異なる

対処法

  • 故人の遺志や生前の信仰を最優先に考える
    親族間で話し合うなどして、故人が最も大切にしていた宗派を1つ選び、その宗派に供養をお願いする方法です。
  • 関わりのあった宗派それぞれで供養を行う
    それぞれ供養を依頼するので、その分費用は掛かりますが、親族間のトラブルや後悔の少ない解決方法となっています。
  • 宗派を問わず供養を行ってくれる寺院や柔軟に対応してくれる業者を選ぶ
    宗派関係なく供養を行ってもらえるので、依頼する手間や費用を抑えることが可能です。
  • 最も長く信仰していた宗派、または菩提寺との関係が深い宗派を主とする

複雑な事情がある場合は、お寺に正直に相談することが大切です。事情を伝えれば、意外と柔軟に対応してもらえることが多く、最もよい落としどころを提案してくれるはずです。
また、宗派にこだわらない形で閉眼供養を行ってくれる専門業者の利用も視野に入れてみましょう。

仏壇が複数ある場合の対応

状況例

  • 本家と分家でそれぞれ仏壇がある
  • 夫婦それぞれの実家から引き継いだ仏壇がある
  • サイズ違いで複数所持している

対処法

  • 仏壇を1つに絞る
    もっとも信仰的に重要な仏壇を1つだけ残し、その他は閉眼供養をして処分します。仏壇は本来「家に1つ」と考えられている地域や宗派もあるため、整理のきっかけにもなります。
  • 同時供養をする
    宗派が同じ場合は、複数の仏壇をまとめて1回の儀式で供養できるお寺もあります。まとめて依頼することで、費用が割引になるケースもあるため、事前に相談しておくとよいでしょう。
  • 順次供養
    宗派が異なる場合や、仏壇の由来が異なる場合は、それぞれの宗派・関係先に合わせて個別に供養を行う必要があります。どの仏壇から供養を行うか、重要度の高い順番で段階的に進めるのがポイントです。

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閉眼供養後の仏壇処分の流れ

閉眼供養が終わったら、次は仏壇の処分です。以下の方法から選べます。

お寺で引き取ってもらう場合

そのまま仏壇を引き取ってもらい仏壇処分が完了です。
引き取られた仏壇はその後、お寺で仏具や位牌などと一緒にお焚き上げを行います。

お焚き上げとは

お焚き上げとは、不要になった仏具などを焼却処分することで、これにより供養された品は清らかに天に還るとされています。

お寺以外に引き取ってもらう場合

リサイクルショップへ売却

状態の良い仏壇であれば、リサイクルショップやリユースショップで買い取ってもらえることがあります。
ただし、古いものや損傷が激しい仏壇は買取が難しいケースもあるため、事前に査定してもらうと安心です。

自治体のごみとして出す

自治体によってルールは異なりますが、一般的には「粗大ごみ」として処分できます。
仏壇の大きさによっては、分解してから出すよう求められる場合もあるため、事前に自治体のルールを確認し、必要な手続きや料金を把握しておきましょう。

不用品回収での引き取り

専門業者に依頼することで、仏壇の解体から搬出、処分までを一括して任せることができます。特に大型の仏壇や、重くて動かせない場合には非常に便利な方法です。
閉眼供養(魂抜き)と仏壇処分をまとめて対応してくれる業者を選ぶと、手間もかからずに安心して任せられます。
また、買取をしている不用品回収業者もあるため、仏壇の供養・買取・引き取りまですべて完結することも可能です。

仏壇・仏具は売却できる?仏壇の買取業者の選び方や処分方法

まとめ

閉眼供養は、長年お世話になった仏壇や仏具を処分する際に、感謝の気持ちを込めて行う大切な儀式です。宗派によって方法や考え方は異なりますが、丁寧に供養することで、心の整理をつけることができます。
特に浄土真宗では「閉眼供養」ではなく「遷座法要」という考え方をします。宗派ごとの違いを理解し、適切な方法で供養を行いましょう。

不安なことがあれば、まずは菩提寺や専門業者に相談してみることをおすすめします。
大切なのは、感謝の気持ちを忘れずに、丁寧に送り出すことです。先祖代々受け継がれてきた仏壇だからこそ、最後まで敬意を持って対応しましょう。

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